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業界研究を再開した

23時に寝て9時に起きた。昨日の疲労でよく眠れなくてバテてた。午後から会社の雑務をしていた。

もてなしだけではもう食えない

少しずつ読んでいく と書いてから3ヶ月読んでなかった。ホテルに限らず、ビジネス一般論としても通じるところが多かったように思う。経営の一般論とでも言うべきか。

第3章 お客さまは神様とは限らない

  • ビジネスの世界は大学のケーススタディみたいに物事がきれいに整理されているわけじゃない
  • 顧客満足度とは本来、企業収益と正の相関関係があるはず
    • 正の相関関係とはAが1増えたらBが1増える
    • 相関係数は-1から1まで
    • 1だと正の相関係数が最大で、0だと無関係、-1だとBが1減る
  • 顧客のロイヤリティとは、再訪するか、他者に推薦するか、商品やサービスに対する信頼や共感を指す
    • ロイヤリティには2つの意味があって、これはマーケティングの分野で使われる意味
  • 従業員満足度の向上が対外サービスレベルを上げ、それが顧客満足度を上げ、結果としてオーナー満足度を上げる
  • 放置できる不満は放置される、経営学的にみて正しい行い

主人公は学生時代の成績が悪かったことから分からないと言えることが強みという説明文が出てきて、教授の説明が理解できないときにどんどん質問して丁寧に説明してもらうというやり取りになっている。この言葉を引き出すために主人公は仕事ができない人設定にしているのかとも考えられる。異世界モノにしてしまえば、こんな説明はいらないなとか読んでて思った。

第4章 「立ち入り禁止」の向こう側

会計は用途によって会計基準が異なる。

  • 財務会計: 損益計算書や賃借対照表といった財務諸表に集約される
  • 管理会計: 経営者が経営状況を把握するための会計書類作成の基準となる
    • 部門別損益やセグメント別の分析などをする
    • 会社ごとにばらばらでもよい
    • 経営者が知りたい情報が指標になっていればよい

ユニフォームシステムという部門別損益を計算するホテル業界の標準的な会計基準について紹介されていた。米国発祥なので日本での普及率は低いらしい。この話題の中でマネージャーの業績考課やボーナス査定の話しが出てくる。そして、マネージャーのコントロール外の非配賦費用を部門別会計に含めないのはマネージャーの実績を測れないからだと説明されている。つまり、ユニフォームシステムという管理会計の仕組みと人事システムはセットでないと業績改善効果が薄いという話しにつながる。人事というのは本当に難しいことが伺える説明だと思えた。

管理会計によって部門別の損益の悪いところが明らかとなり、そこに対する改善案が進みそうなストーリー展開になってきた。小説風なのでストーリーが進むと、その先の展開も楽しみになってくる。

第5章 数字を分解せよ

投資計画に対して懐疑的になる背景としてフィージビリティスタディの話題が出てくる。私は言葉を知らなかったので勉強になった。ここではセグメント別に分割して大雑把な小さい数字を推定していくことから始め、その数字の裏付けをより精度の高い手法で行うことで現実的な企画ができるみたいな組み立てになっていた。

  • 投資がどのぐらいの経済効果をもたらすのかを予測することをフィージビリティスタディ (feasibility study) と呼ぶ
    • 日本語では事業化可能性調査、または採算性調査と呼ばれたりもする
    • 収益と投資額の2つの情報から利回りが何%かがわかる
    • できるだけ数字を分割して考えるのが基本
      • フェルミ推定を使って大雑把な数字から算出するやり方もある
    • 投資によって「追加的な売上」ではなく「追加的な粗利益」を測るべき
  • RFP (Request For Proposal): 提案提出依頼書を作る
    • 専門家へ依頼するときにコンセプトデザインを明確にする
    • コンセプトを専門家に正しく伝えないと適切な提案を受けられない
  • 自分の会社のリソースを確認し、その比較優位に従って企画を立てるのがマーケティングの王道の考え方

主人公からなぜ横文字を多く使うのか?という質問に対して、コンサルタントの教授が答える。まだ定着していない概念を的確に表すには英語のまま使っておいた方がよいという説明が出てくる。私もこのことは全く同意で、もっと言うとカタカナにせずにアルファベットのまま英語で使うとよいと考えている。本題ではないけど、大型連休はプロジェクトの進捗に影響を及ぼすので考慮にしとけよというやり取りが急に出てきてリアリティがある。私がいま手伝っているプロジェクトは GW の休暇を考慮せずにロードマップを策定していて、私が2回ぐらい指摘してあるとき修正されたことがあった。

不正の調査報告書を読んだ

不正の調査報告書

少し前にタイムラインでグレイステクノロジーという会社の粉飾決算が話題になっていたので関心をもっていて、調査報告書が公開されていたので読んでみた。100ページ超あるので目を通すだけでも数時間ほどかかった。

うちはマイクロ法人なんでなんのプレッシャーも目標もない、お気楽な会社ではあるけど、失敗事例から経営や会計を学ぶ機会にしている。多くのケースで成功する方法はわからないけど、失敗しない方法はいくつもある。凡人は成功しようとせずに失敗しないように注意するのがよいと私は考えている。これは麻雀で振り込まなかったら勝てるというのに近い考え方だ。

閑話休題。報告書を読んでいて最初は1社員による小さな不正だった。もちろんそれもよくないことだが、経営陣がまともであれば、いくらでも訂正することも立て直すこともできた。しかし、経営陣もおかしかった。すぐに個人の不正が組織ぐるみになり、創業者の虚栄心も拍車をかけて、2-3年後には数億円規模の不正となり、不正を働いた関係者が一蓮托生となった。これは構造的な問題もしくは失敗を学ぶ教材となる。関係者個人の道徳心や正義感などを批判することもできるだろうが、それよりも構造的にそんな状態に陥らないように会社の仕組みを作ることが重要で、一般論ではそれをコーポレートガバナンス (企業統治) と呼ぶのだろう。しかし、経営者がみずから不正をすることに対するガバナンスとはどう在るべきなのか、この問題に対する構造的な対策はなかなか難しいのだと、この調査報告書は語っている。

なんら擁護するものではないが、読み進めていて、関係者みんな辛かっただろうなと不正をしなければいけない状況や心境を察してしまった。目標数値が高過ぎる、過度なパワハラ、コーポレートガバナンスの不備などがその状況を5年も維持し続けてしまった。もっと早く明るみに出ていたら、いまより関係者は苦しまなかっただろうが、歴史に if はないので推測でしかない。不正の中心人物である創業者は急性大動脈解離で急逝しており、それは認知的不協和のストレスによって引き起こされた可能性が高いのではないかと私は考えてしまった。不正に限った話ではないが、なんらかの間違いというのは早期に検出できて、早期に改善のための取り組みをする方が短期的に大きな損害を被ったとしても、中長期的には最大の利益を得るというのを、多くの人は人生の経験の中で学んでいくと思う。たまたまその経験をもっていない人たちがこの会社には集まってしまって、不幸な事件が起きてしまったように私は受け取ってしまった。