先人のパニック障害の経験から学ぶ
昨晩の睡眠時間は5時間24分 (1:30〜7:41, 深い睡眠1:20) だった。
パニック障害の経験談⌗
長嶋一茂さんの著書 乗るのが怖い 私のパニック障害克服法 を読んだ。とてもよかった。元プロ野球選手でありバラエティ番組にもよく出演されている。氏がパニック障害になったのは30歳の頃だという。それでプロ野球選手としては引退せざるを得なくなったらしい。その後、パニック障害の症状と付き合いながら十余年にわたっての経験談が書いてある。仕事中に発作で過呼吸を起こすことが多かったそうでビニール袋をお守り代わりにして息苦しさを感じたら物陰でビニール袋を口に当ててスーハーするといった対処をしていたらしい。次のような、氏の基本的な考え方に私も共感する。
医師や薬に頼る前に、自分がどうあるべきかを考える
もちろん、いい医師を探すことも必要ではある。(中略) 残念ながらこちらの悩みを本当に理解・解決してくれる人はいなかった。しかし、よく考えてみれば、それも当然なのである。なぜなら、医師自身はパニック障害ではないのだから。
先日 医師と話してみた 所感としてもあまり伝わってないように私も感じた。実際に体験しないと精神的な辛さやしんどさを理解することは難しい。物理的な痛みや障害の辛さとはまったく次元の異なる辛さがある。医師が患者の痛みを理解できなくてもそれは当然であるし、逆にその方が客観的な事実やデータから適切な処置を行えることもある。専門知識からの症状の判断や改善のための助言を医師に求めるだけで十分であり、精神的な症状を実際に改善するのは本人の努力や意思以外にはないと私も考えている。
お仕事を終えてから夜に読み進めて2日ぐらいで読み終えた。ちょうど私が関心をもっている内容だったので共感できるところや学びになるところがたくさんあった。そして、私よりもずっと重篤なパニック障害の症状に対して氏が対処してきた経験は勇気づけられるものでもあった。私自身、こんな症状が出たらこれからお仕事していけるんやろか?と不安に感じていた。体調が悪かろうが周りの人たちに協力を仰ぎながら生きていくために働いていかないといけないという決心にもなった。
冒頭、氏がパニック発作で過呼吸になって救命救急センターへ担ぎ込まれたエピソードを私は理解できる。
その時の母親の第一声は、今でも痛烈に覚えている。 「あなたはね、 傲慢なのよ」そして、続けざまにこうも言われた。「あなたの先生や看護師さんに対する態度はなってない。あの口の利き方はいったい何?あれがあなたの本性よ。あなたのその傲慢な態度を直しなさい」私はパニックで過呼吸になった直後だったから、自分がどんな口の利き方をしていたかなんてまったく覚えていないのだが、たぶん、偉そうなことを言っていたのだろうと思う。今思えば、当時の私は、母親の言う通り、本当に傲慢な男だった。情けない話なのだが、そこまで母親に言われても、「謙虚」という言葉は、当時の私からは一ミリも出てこなかった。
精神的な不安で脳のリソースを使ってしまうと、周りへの配慮をする余裕がなくなって、自分のことだけで精一杯になってそういった態度をとってしまうのだと思う。私もそうならないよう、気をつけたつもりだけど、もしかしたら周りに無礼なことをしている可能性がある。この気持ちはよくわかる。こういう気持ちや状況がわかると、横柄な態度をする人に対しても適切な寛容さをもてるようになるかもしれない。
当時の私は一人暮らしを謳歌していたほうで、自由気ままな一人暮らしがすごく好きだった。でも、一人になるのが急に怖くなってしまったのだ。もし昨夜みたいに倒れても、一人だったら救急車も呼べない。そう思うとますます怖くなる。女房が来てくれて、昨夜もらった精神安定剤を飲んだのが午後の三時ぐらい。私は結局、それから翌朝までベッドから起き上がれなかった。
私もパニック発作が起きていたときはひとりで家にいるのが怖くなったときがあった。しかし、そのときでもオフィスにひとりでいるのはまったく平気だった。そういうときに友だちや知人に連絡をとって相談したりしているうちに落ち着いていった。人間は一人で生きていけないんやなと実感したときでもある。氏が飛行機でパニック発作を起こしたときも「一人で寂しい」と感じたことが予兆だったと書かれている。私自身、人間関係が得意でなかったり一人の方が気楽でよいと考え、いままで生きてきたから氏の変化にも共感できる。人と話していると、会話に脳のリソースを費やすせいか、精神的な不安を感じないことが多い。
追い詰められた私は席を立ち、車内を必死に歩き始めた。これまでの経験から、「パニック発作には、気分転換、つまり気を紛らわせることが肝心だ。そのためには、伸びをしたりして姿勢を変えたり、さらには、歩ける時にはできるだけ歩いて、場所を変えることが、かなり有効だ」と、学んでいたからだ。
私もパニック発作が起きたときは外へ散歩に行ったり軽い筋トレしたりしていた。散歩が有効だと思う。
以前なら一升飲んでもまったく平気だったのに、飲み始めた途端に、心臓がバクバクし始めたのである。「ああ、このままでは俺は本当にヤバい」私は勇気を振り絞り、スタッフに自分の状態を打ち明けると、一人意気消沈して、盛り上がる座を後にした。その時から、私は「不規則な生活の楽しみ」を諦めたのである。
テレビの仕事は不規則な生活で、深夜に番組が終わると、それから2時から4時まで焼肉、5時からバーで飲むといったこともしょっちゅうあったらしい。しかし、そうしたことをすると発作が出るようになってしまって生活を見直したことも書いてある。私の場合、仕事が忙しいときは深夜2時ぐらいまでオフィスで働いているのが普通だった。
野心を捨ててバリバリ働かないことを選ぶ――。それは、野球を辞めた時とはまた違う意味での一つの挫折の経験であり、さらに今から思えば、私の人生における静かな、しかし大きな転機――。パニック障害という病気とどう折り合いをつけていくかという、新たな人生のスタートでもあったのである。
私は体力や健康に自信があったから人の3倍働かないとやっていけないという危機感をもってやってきた。しかし、そんな働き方を今後はできないのかもしれないと考えるようになった。
ここまでが、私の十四年間のパニック・ヒストリーである。最近はテレビでも、「自分はパニック障害だ」と公言しているけれど、ここまで詳しく経緯を述べたことはなかった。楽になったとはいえ、当時のことを振り返るのは、正直、結構しんどい。だが、こうした私の体験を読むことによって、パニック障害で悩んでいる方に、少しでも「自分だけじゃない」と思ってもらえたら――。そんな思いで、書いてみた。
氏の本がいまの私にとってとても役に立っている。そして パニック障害であることについて の記事をきっかけに、いまの症状に気付くこともできた。オンライン上にこういった記事や経験を書いておくことは誰かの役に立つことがある。記録を残すことの意義がとても大事だと気付かされる。
実は、パニック障害をはじめ、不安を抱えている人の多くは、足りないのではなく、過剰な何かがあるのだ。だから、その過剰な何かを取れば、不安はなくなる。食べ物でも、持ち物でも、情報でも、欲望でも。昔の修行僧ほどはできないとしても、自分に本当に必要なもの以外は、どんどんそぎ落として、できるだけシンプルにしていく。そんな引き算の効能は、今も、日々、実感している。
モノを断捨離していこうと私もちょうど考え始めたところ。自分の生活にとって必要なものとそうじゃないものを区別してシンプルな生活に見直していこうと思う。
氏が対症療法としてやっていることにも共通点があった。
- 不規則な生活を見直す
- 不安なときに散歩する
- 自然のあるところへ行く
- 睡眠を多くとる
- お風呂に長く浸かる
- 呼吸をゆっくりする
- 読書をする
- ストレッチをする
氏が行っている対症療法のうち、私は実践していなかったり、あまり意識していなかったりするが、最近読んだ他の健康本でも書いてあったことに共通することもいくつかあった。
- 朝の散歩をする
- 断食をする
- カフェインや炭酸飲料を避ける
- 普段は水を飲むように変えつつある
- これまでペットボトル (500ml) のカフェを1日1-2本飲むこともあったが、最近は控えて1本未満になっている
- タンパク質は魚を中心にする
- 普段は鶏肉や鶏軟骨をよく食べる、あとサバ缶かな
- 身体を温める
- 夕方にお風呂に入るとよいらしい
とにかく早く治したい、そんな意欲のある人には、断食もおすすめである。理想的な期間は、三日間。
血流を改善する本 でも断食をすると胃腸の機能が回復するからよいと推奨されていた。現代の生活はしょっちゅう食べているから、食べものを消化するために胃腸が弱りやすいらしい。空腹の状態のときに食べもののカスなどを大腸に送り、胃腸を掃除して機能回復を図るらしい。そのため、胃腸を回復するには8時間以上なにも食べていない時間を与えるとよいとのこと。朝と昼は普通に食べて、夕食を抜くことを進めている。8時に朝食、13時に昼食を取ると仮定すると、夕食を抜くことで19時間なにも食べない時間を作れる。夕食断食は1週間続けると胃腸回復によく、1週間に1日だけでも効果はあるらしい。水分補給は夜にとってもよい。
夕食断食を試してみたいと思いつつ、夕食は朝昼よりもちゃんと作って食べているのもあり、疲れたときにおいしいものを食べることでストレス解消にもなっているため、なかなか夕食を抜くことができない。最近は土日も2時間以上は散歩したり筋トレしたりしている。その疲れからか夕食を食べたくなってしまう。また余裕のあるときに機会をみて試してみたい。
その覚悟を高めるためには、夜寝る前に、「これをやろう」「これだけは守ろう」と思ったことは、とりあえず書き出すことも、非常に有効である。私の場合も、本を読んでいて、はっと思う治療法や情報や言葉を見つけると、必ず夜寝る前に、それを書き出すように心がけている。そうすれば、忘れにくくなるし、さらには自分の頭がすっきりと整理できるからである。だから、この本を読んで、少しでも興味が湧いたり、ピンと来たものは、とりあえず今夜からでも、書き出すことを始めることを、切にお願いする次第である。
最後に氏の本の中でも書き出すことが有効だと書いてある。「書くことは考えること」 である。私も自身の症状や実践してみてよかったことやわるかったことなどをどんどん書いていって今後の生活の糧にしていきたい。