ダブル幽霊の諍い
今日の運動は腕立て,スクワットをした。統計を 運動の記録 にまとめる。昨日は飲み過ぎて午前中はバテて寝込んでいた。今日も雨降りで公園へ出掛けられなかった。
能楽の勉強⌗
深草少将の霊が、小野小町の成仏を妨げんと現れる執心《通小町》 第40回能のことばを読んでみる会 に参加してきた。前回の所感はここ 。
通小町という能には 小野小町 と深草少将、山居の僧の3人が出てくる。少将の台詞に「お僧たち」という言葉が出てくることから僧は複数いるんじゃないかという解釈もできる。能に出てくるのは1人だけど。あと能で小野小町は若い女性として表現されることが多いそうだけど、小町の台詞に「市原野辺に住む姥ぞ」という言葉が出てくる。そのままに解釈すると小町の似姿も老女にした方が適切かもしれないという話しを朝原さんがされた。実際に小町の登場時は老女、途中で若い女性に変わるといった表現をする能もあるそうだ。
小野小町は六歌仙の1人として有名ではあるが、歴史上の人物としてどのような人であったかはよくわかっていないという。兼好法師の徒然草にも次のように記述されている。
小野小町が事、極めて定かならず。衰へたる様は、「玉造」と言ふ文に見えたり。この文、清行が書けりといふ説あれど、高野大師の御作の目録に入れり。大師は承和の初めにかくれ給へり。小町が盛りなる事、その後の事にや。なほおぼつかなし。
玉造小町子壮衰書 という古詩に出てくる女性は小野小町ではないが、小町シリーズのような、能において老女の話しがいくつかあるそうでその影響を受けているという。今日の通小町も小野小町がストーカーのような深草少将に成仏したいのに邪魔されるといったストーリーになっていてなにかしらの影響を受けているのかもしれない。
秋風の 吹くにつけても あなめあなめ
あなめ という言葉も初めて知った。頭蓋骨の目の部分にすすきが生えていて「あな」というのは感嘆詞で「あぁ」という意味で「め」は「目」を指している。その状態をみた人が「あぁ目が!」という心境を表す言葉が「あなめ」だという。私はその説明を聞いていて、天空の城ラピュタのムスカ大佐の「目がぁぁ〜!」を連想してちょっとおもしろかった。
[ 1 ] 〘 連語 〙 ( 小野小町の髑髏(どくろ)の目に薄(すすき)が生え、「あなめあなめ」と言ったという伝説から ) ああ目が痛い。また、ああたえがたい。あやにくだ。
通小町の物語に出てくる小町は幽霊になる。小町が邪淫を犯した (現代でいうと不倫のようなもの?) ことで成仏できない状態で、さらに深草少将というのがいきなり現れて、この人はどこから来たの?と思ったら小町の幽霊に取り憑いている幽霊だという設定で、シテとツレのどちらも幽霊という能のパターンもあるんだと少し驚いた。供養のために生前の情事をふりかえりながら物語が進む。少将は小町を想い、百夜通いをするが、小町は少将のことをあまり気にかけていなかったことがわかる。少将は絶望する。それでも百夜目はうきうきして「お祝いのお酒を飲みますか?」というところで、仏教の戒律を守るためにお酒はやめましょうという判断を下したことで、小町の罪が許されて、小町も少将も成仏できたと、最後の方で唐突にハッピーエンドで終わる。通小町のオリジナルは 唱導 という仏教を教理を広める意図で書かれたものを、今春流の能楽師が書き直したものらしい。なので物語の終着が唐突だったり、仏教で救われるといった構成になっているようにみえるとのこと。