26日に仕事納めをして時間に余裕があったので百条委員会の証人尋問、さいとうさんの定例会見、それからいくつかの報道や記事などをみていた。
百条委員会は2月をめどに、第三者委員会は3月をめどに報告書がまとめられる予定になっている。第三者組織における調査結果となるため、それをもって一定の客観性のある結論が出ると思われる。私のスタンスとしては、さいとうさんは政治家として若いし、若い人たち向けの政策を取り入れようとしていて支持している。支持か不支持かで言えば支持する立場ではあるものの、いくつかの疑惑や取り上げられている問題への説明責任を果たそうとしない姿勢は残念に思っている。がんばれと思う一方でモヤモヤすることもあってこれまでの経緯をずっと見守ってきた。
私がこれまでの経緯を1次ソースである百条委員会や定例会見、それらについて書かれた記事をみてきて思うことは内部告発の内容自体は大した問題ではない。もっとも大きい問題であった優勝パレードのキックバック疑惑も、片山元副知事の自信満々の答弁をみている限りは、補助金を増額することが先に決定事項であり、その状態で信金へ寄付のお願いに行けば忖度して寄付してくれるだろうと見越した元副知事の政治手腕であると私はみている (あくまで私の推測) 。おねだりもパワハラもまったくの事実無根ではないが、大した問題ではないように私はみている。
内部告発そのものは大した問題ではなかったようにみえるのでスルーしておけば怪文書扱いでいまのように騒がれることはなかったように思える。しかし、犯人探しをして処分したことで公益通報者保護法の疑いが問われていまも焦点となっている。もちろん県議会にもさいとうさんに反対する政治的な動きはいくつかみられており、百条委員会の中で県議が誤った証言をしたり、さいとうさんが不利になるような情報を流したりもしている。さいとうさんに政治的に対立するグループからの工作のようなものもいくつかあったのだろうと推測する。それはそれで訂正されて最終的な報告書では取り除かれることになるとは思われるが、マスメディアと一緒になって政治的にさいとうさんを陥れようとした動きそのものもあったとみなす方が自然に思える。一番不可解なことは百条委員会の途中に不信任決議が行われたこと。調査の結論がなんら出ていない時点で不信任決議案が全会一致で可決されたことは政治的な駆け引きとしか考えられない。しかし、それも含めて政治の世界なので政治家としてうまくおさめることはさいとうさんの責任の一端にはなるだろうと思う。
片山元副知事の辞任は早かった。元西播磨県民局長が自殺されたという事件も大きな影響を与えたと言えるだろう。県政を停滞させたことへの責任をとったという説明だった。百条委員会での片山元副知事の明確な答弁をみていて県政を仕切っていたのは元副知事であろうことは伺える。またリーダーは結果責任を取るという側面では正しい判断とも言えよう。さらに元副知事は「知事はコミュニケーション能力不足」と辞任会見で表明している。他にもいくつかの記事で県政の複雑なところの調整はすべて元副知事が行っており、職員がさいとうさんとコミュニケーションをうまく取れないという記述もみかけたりしている。その1つに考えられるのは、さいとうさんが問題の有無を正しく認識して改善するという当たり前の手続きを取れないことにあるのではないか?と私は考えている。これまでのさいとうさんの会見における回答は「適切だった」「問題はなかった」といった答弁しかしていない。失敗を認められないリーダーにみえている。ふりかえりができないから改善するときの論理が成り立たず、周りの人たちとコミュニケーションが取れないのだろうと推測する。
その根拠の1つに、さいとうさんの味方として関わった人たちが失職したり不幸になったりしている。県政を停滞させた責任として元副知事だけが辞任するという状況はおかしい。元県民局長の公用PCの内容を漏えいさせたとみなされている元総務部長とは証言が食い違っており、さいとうさんが悪くないのであれば元総務部長が嘘をついているということにならざるを得ない。PR 会社の note の記事もさいとうさんが公選法違反していないということであれば、PR 会社の社長が嘘をついているということにならざるを得ない。さいとうさんは決して自分の味方の人たちの疑惑をかばうことはしない。そのため、責任問題や疑惑が持ち上がったときにさいとうさんは自身の潔白を表明するがために関係者の過失を追及することになってしまう。このことはさいとうさんの疑惑が一向に解消しない原因の1つではないかと考えられる。
28日に放送された tbs の奉読特集の番組がある。x 上ではさいとうさんの支持者から偏向報道のように避難されていたりする。さまざまな意見があることは伺える。
私もこれまでの経緯を1次ソースである百条委員会や定例会見、それらについて書かれた記事をみてきて思うことは諸問題の一面のみをストーリー仕立てで取り上げているため、さいとうさんに不正や不備があったように受け取れるような報道になっているのはそうだと思う。一方で不確かな情報や悪質なデマを取り上げて報道しているわけではないため、こういった疑惑がさいとうさんに持ち上がっていることそのものは誤っていない。支持者からみたら納得いかない内容かもしれないが、さいとうさんはこれらの疑惑に対して客観的に納得のいく回答を返していないということもまた事実ではある。
私がいまもっとも共感できる意見としては次の特集の橋下さんの考えに近いと感じている。
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権力者として疑われる行為そのものを避けようとしていないおねだりやパワハラで疑われるような振る舞いがいくつかあったことを証言している 内部告発に対して犯人探しを側近に指示して人事処分したことは判明している PR 会社にポスターやスライドを発注しつつ、個人として sns 運動をボランティアとして手伝ってもらったと主張している (ここはまだ疑惑) 問題の有無を話すのではなく、法律に違反していないとずっと言い続ける姿勢への違和感内部告発への対応は適切だったといまも一貫して答えている (しかし、兵庫県に外部通報の窓口を設置したり、消費者庁でも公益通報保護法の見直しが議論されている) 失職前に県政を停滞させた道義的責任について問われたときに「道義的責任が何かわからない」と答えた PR 会社の一件も公選法違反の認識はないと一貫して答えている 知人とさいとうさんのハラスメントについてやり取りしていたときにこんなやり取りがあった。知事失職前の2回目の証人尋問で次のような証言がある。
片山元副知事は「2月の終わりごろに、案件はよく覚えていないが、知事に相談に入った時、非常に怒り、付箋を投げた。少し厚い5ミリ程度の付箋だったと思うが、知事は真正面に向かって投げてアクリル板に当たったのをはっきり覚えている」と述べました。
【詳細】兵庫県知事 百条委で2回目の証人尋問「徹底調査指示」
元副知事はこの一件をパワハラとは認識していない。しかし、いまどきの基準で言えば、怒ってモノを投げるというのはハラスメントとみなされて仕方ないと私は考える。知事も行き過ぎた行為だったと認めて反省すれば終わる話しなのをさいとうさんは「適切な対応だった」という姿勢で一貫している。モノを投げるのを適切な指導の範囲内とみなすことはできないよね?一般論としてハラスメントがあったとみなされても仕方ないよね?と知人とやり取りしていたときに「問題がある行為かもしれないが、これをパワハラだと断罪する百条委員会の運営方法は報道関係者に問題を感じる」と主張して知人はハラスメントと認めず、委員長や報道関係を非難したことがあった。「問題がある行為かもしれないが」と自身も認識しているのにそれはハラスメントではないと言ってしまう論理が私には理解できなかった。
政治的な支持・不支持と、客観的な事実や論理的な帰結をわけて考えることができないという状況があるようにみえる。多少の失敗や瑕疵があっても政治家を支持すること自体はかまわないと私は考えている。さいとうさんはよくなかったところを認めて改善に努めていれば、いまの状況になっていなかったのではないか?と私からはみえてしまう。広義ではコミュニケーション能力というかもしれない。プライドなのか政治的な駆け引きなのかはわからないが、誤りを認めるという振る舞いができないさいとうさんに対して周りがリーダーとしての資質への懸念を抱かせるのは仕方ないことだと私は考える。